ケトン体ってなんだろう?
最近よく耳にする「ケトン」という言葉を耳にしませんか?シリコンバレーで有名な経営者の方々や俳優・モデルさんなどが熱心に取り組んでいることが話題となり下記のような言葉がよく聞かれるようになりました。
・ケトン食
・ケトンダイエット
・ケトーシス
・ケトジェニック etc…
そもそもケトン体って何?
ケトンとは脂肪の分解により肝臓で作られ、血液中に放出される体内にあるアセト酢酸・3-ヒドロキシ酪酸・アセトンのことをまとめてケトン体と言います。難しい言葉が出て来ましたが簡単に説明しますと、私たち人間の脳や筋肉のエネルギーとなるのは1番に「糖質」です。糖質とは穀物や芋類、砂糖に多く含まれており、たんぱく質・脂質と並ぶ三大栄養素の一つです。その糖を利用せずに(糖質を摂取せずに)ケトン体(脂肪)をエネルギー源として利用することです。
糖はもう必要ではない?
糖質とは炭水化物とから食物繊維を除いたものを指します。糖質は摂取すると「ブドウ糖」に代わり私たちの血液を巡りエネルギーとなります。しかし私たちには糖質を摂取しなくても糖を自ら作ることができるのです。それを「新糖生」と言います。糖が足りなくなると体内の脂質を使って筋肉に含まれるたんぱく質から「ブドウ糖」を作りエネルギーに変えることができるのです。
糖質派?脂質派?
私たちはブドウ糖(糖質)・脂質の両方でエネルギーを得るまたは作ることができます。ブドウ糖はすぐ燃料として使うことが出来ますが、得られるエネルギーは200~500gしかありませんので約1日分ほどです。
例えば「低血糖」。フラフラしたり手先がブルブル震えたりする症状です。体内で糖が足りてませんという合図で起こる場合がほとんどですが、実はそれは糖の過剰摂取が原因となっています。インスリンが過剰に分泌され上がった状態からジェットコースターのように下降した際に起こるケースが多いことが分かっています。それは糖質をエネルギーとしている証拠です。
ブドウ糖はエネルギーとしては瞬時に働きますがすぐに力尽きてしまいます。しかし、脂肪は私たちの体に一定の量が必ず貯蓄されています。約50kgの体重の方でも20%ほどの体脂肪がありますので10kgの脂肪があります。その脂肪をエネルギーに変えることができれば長期間エネルギーとして使うことが出来ますね。
つまり短期間で一気にエネルギーに変わってしまうブドウ糖よりもかなり安定したエネルギー源であることが分かります。
脳には必須ブドウ糖!
脳細胞にはブドウ糖しか使えないのでは?と思われがちですが、脳のエネルギー源は糖質だけではないということが分かって来たのです。これが「ケトン体」です。脂質やタンパク質は、脳でエネルギーとなる関門を通過するには難しい分子とされてきました。しかしケトン体は脳だけではなく体内のあらゆる細胞エネルギーとして使えることが分かって来ています。
ケトジェニックダイエット
糖質をひかえ高脂質な食品を中心に食べる方法です。これをケトン食とも言います。1日に必要な摂取カロリーを脂肪から摂取し、脂肪を使ってエネルギーを使うケトーシス状態へ体を慣れさせていく方法です。1日の糖質を約50g未満とし、タンパク質・脂質・でんぷんをあまり含まない野菜を選びます。お肉・魚・ナッツ・良質なオイル・バター・チーズなどがメインとなります。
肉 | 鶏肉・豚肉・牛肉・ラム肉・ベーコン・ハム・ターキー(摂取出来る量は部位などで異なります) |
魚(魚介類) | サーモン・鯛・マグロ・たら・アサリ・牡蠣・タコ・いか・ホタテ |
野菜 | カリフラワー・キャベツ・アボカド・ブロッコリー・トマト・アスパラガス・きゅうり・玉ねぎ |
ナッツ | アーモンド・ピーナッツ・くるみ・ピーカンナッツ |
アルコール | ウイスキーや焼酎が中心(1~2杯) |
フルーツや根菜、お菓子、穀物やでんぷん質は比較的に摂取しません。食事は主に脂質と限られた量のたんぱく質からとり炭水化物はほとんどNGとなります。さらにお水をたくさん飲むことが指導されており、ダイエットコーラやソーダ類も控えるようにします。パン・お菓子、ビールなどは全て禁止となりますので毎日取っていた方にはまずそこを見直す必要があります。
ケトン体をエネルギーとしている状態、つまり脂質をエネルギーとしている状態のことです。これを「ケトーシス」と呼びます。そのケトーシスになる体の状態にしていくことを「ケトジェニック」と言います。
ケトジェニックダイエットで健康
ケトジェニックダイエットで重要とされるのが「タンパク質」の重要視です。
タンパク質は体を作る重要な役割がありますがエネルギーとしての役割はありません。ケトジェニックダイエットで必要とされるのは主に脂質です。新糖生のためたくさんのアミノ酸が消費されることとなります。
タンパク質が足りなくなると筋肉にあるタンパク質を使ってしまい筋肉が減っていってしまいますので、より多くのタンパク質を摂取する必要があります。ケトジェニックダイエットには糖質・脂質・タンパク質の見直しが必須となります。
まとめ
まだ狩猟生活をしていた1855年の記録によりますとタンパク質47%、脂質45%、炭水化物7.4%というまさに糖質をほとんど取らない食事が主流だったといわれています。確かに食物を求めて土地を渡ったり農耕に適さない土地にいるため、炭水化物が少ない状況であったと考えられます。
しかし現在はタンパク質13%、脂質28%、炭水化物58%というほとんど糖質中心の食生活を送っています。糖質はブドウ糖に素早くエネルギー化されるため、血糖値の上昇とインスリンの分泌により糖尿病・動脈硬化・がん・アルツハイマー病などの病気を発症させるリスクがあります。
手軽な栄養素として簡単に摂取出来る『糖質中心の生活』が現代病の要因となっているのではないでしょうか。
ケトン体は脂肪自体を燃焼させます。そのためにケトン体体質へ近づける必要がありますが、現代人が悩まされている肥満・生活習慣病を見直す一歩として体脂肪をエネルギーに変え、健康的にダイエットしていく方法としてはぜひ挑戦してみたいですね。
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